生命保険や香典の相続

生命保険は相続財産に含まれるのでしょうか?

生命保険金を受け取る権利というのは、あくまでも保険契約によって発生します。

したがって、たとえば亡くなった方が被保険者で、保険金の受取人を相続人と指定していた場合、特別の事情がない限り、保険金は保険契約の効力発生と同時に受取人の固有財産となります。

つまり、生命保険金を受け取る権利は、相続財産に含まれないと解されています。

また、最高裁の判決では、「死亡保険金請求権は、民法の定める特別受益には当たらない」としたうえで、保険金受取人である相続人と他の共同相続人との間に生ずる不公平が、到底是認することができないほどに著しい場合、「死亡保険金請求権は特別受益に準じて持戻しの対象となる」としています。

なお、亡くなった方が自分を生命保険の受取人にしていた場合、この生命保険金は相続財産に含まれます。

一般的に人が死亡した場合は、親戚や知人から香典を頂きます。

この香典ですが、相続財産に入るのでしょうか?

そもそも、香典が送られる理由は、基本的に葬式費用の一部を負担し、亡くなった方の家の負担を軽くするという相互扶助の精神によります。

つまり、香典は葬式費用の一部負担とみなされますので、香典の送り先も喪主=葬儀の主催者となります。

なお、喪主は通常、長男がなることが一般的です。

そうなると、葬式費用に充てられた香典に余りが出た場合、それは誰のためになるのかという問題が出てきます。

この点については、喪主の裁量により、事後の祭祀費用のために取っておいたり、どこかの団体に寄付したり、相続人の間で分配することも可能です。

しかし、残った香典をどのように扱うかは喪主の意思によりますので、他の相続人が残りを分配するように請求することはできません。

以上をまとめると、

1. 香典の送り先は喪主

2. 香典が余った場合の使い道は喪主の裁量による

ということになります。

一度書いた遺言書の内容を取り消したい場合はどうすればいいのでしょうか?

自分で遺言書を書いた場合は、遺言書そのものを破り捨てれば、遺言を撤回したものとみなされます。

しかし、公証人役場で作成した公正証書遺言の場合、原本が公証役場に保存されているので、遺言者が手許にある遺言書を破棄しても、撤回の効果は生じないとされていますので注意が必要です。

また、遺言書を破り捨てるようなことをしなくても、前の遺言と後の遺言の内容が抵触する場合、その抵触している部分については、後の遺言で前の遺言を撤回したものとみなされます。

ここでいう抵触とは、前の遺言を失効させなければ、後の遺言の内容を実現することができない程度に内容が矛盾することをいいます。

この他に、遺言の内容と抵触する生前処分等でも撤回になる場合があります。

たとえば、老後の面倒を見てもらうという約束で養子縁組をし、その所有不動産の大半を養子に遺贈する内容の遺言書を書いたとします。

しかし、養子に対する不信の念を強く抱くようになったために協議離縁をして扶養を受けないことにした場合、その離縁により遺贈は撤回したことになります。

以上のように、遺言書自体を破棄しなくても、遺言の撤回は可能ですが、後々のトラブルを防止する意味でも、自筆証書遺言であれば、改めて書き直し、古い遺言書は破棄するのがよいと思います。

遺贈という言葉をご存知でしょうか?

あまり耳慣れない言葉ではありますが、相続実務では重要な行為です。

遺贈を簡単にいえば、遺言によって無償(負担付の場合もある)で財産を他人に与えることとなります。

なぜ、遺贈という制度があるのかというと、人の生前における自由な財産の処分の延長として、その人自身に死後の財産の行方も決定させるためです。

なお、遺贈は贈与と似ていますので、簡単に違いを説明します。

贈与は、贈与者と受贈者との契約であり、生前処分です。

反面、遺贈は、遺贈者の単独行為であり、死後処分です。

また、受遺者(遺贈によって利益を受ける者)は、人に限らず株式会社などの法人でもOKです。

ただし、受遺者が遺言者よりも先に死亡したときは遺贈は無効になりますので注意が必要です。

公正証書遺言のお話です。

この遺言は読んで字のごとく、公証人が作成する遺言のことです。

ルールは以下の通りです。

1. 証人2人以上が立ち会い、

2. 遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授し、

3. 公証人が遺言者の口授を筆記し、これを遺言者及び証人に読み聞かせ、又は閲覧させ、

4. 遺言者及び証人が筆記の正確なことを承認し、各自がこれに署名・押印した上、

5. 公証人が法定の方式に従って、作成した旨を付記して署名・押印する

実際のところは、公証人役場に行けばその場ですぐに作成してもらえるというわけではなく、事前に打ち合わせをします。

そして、約束していた日に遺言者と証人2人が公証役場に行き、公証人に作成してもらうことになります。

なお、証人になれない者は以下の通りです。

1. 未成年者

2. 推定相続人及び受遺者並びにこれらの配偶者及び直系血族

2.は遺言の内容について直接利害関係があり、遺言者に不当な影響を及ぼすおそれがあるからです。

以上のように、公正証書遺言は公証人に作成してもらうので、自筆証書遺言のように手違いで無効になることはありませんが、証人2人を用意しないといけないので、その点がネックです。

興味のある方は直接、お近くの公証人役場や司法書士にご相談されることをお勧めします。

民法では、相続人間の実質的は公平を図るために寄与分制度というものを定めています。

たとえば、被相続人(亡くなった方)の長男が長いこと家業を手伝っていて、二男はサラリーマンとして別居しているような場合、長男の寄与・貢献を考慮しないで、均等に遺産が分配されると不公平といえます。

では、どういった場合に寄与しているといえるのかが問題となりますが、以下の3つが規定されています。

1. 被相続人の事業に関する労務の提供または財産上の給付をした者

2. 被相続人の療養看護

3. その他の方法

上記の寄与行為により、被相続人の財産の維持または増加があったことが要件となります。

しかし、寄与分が認められるには、通常の寄与では足りず、「特別」の寄与が必要となります。

この点、妻の家事労働については、一般に夫婦間の協力扶助の範囲内の行為とみられているので、特別の寄与にはなりません。

なお、、寄与分をうけるには相続人であることが要件なので、相続人ではない第三者には該当しません。

寄与分の協議は、相続人全員の話し合いが原則となります。

もし、共同相続人間で、寄与分の話し合いがまとまらない場合は、家庭裁判所が寄与者からの請求により、一切の事情を考慮して寄与分を定めることになります。